昨日は梅雨明けしたのかと思うくらいの暑さでしたが、梅雨時期ともあって湿度はかなり高めで不快指数が上がっていたように感じます。
急な暑さで体調を崩されたというお話も聞こえてきました。
湿度の高い今の時期はもちろん、これから熱中症に気をつけないといけない季節になっていきますが、どのようなことに気をつけるべきでしょうか。
また水分補給をするには何が一番いいのかを患者さんによく聞かれますので、今日はそれについても少しお話したいと思います。
体調管理に少しでも参考にしていただけましたら幸いです。
熱中症とは
暑い環境によって引き起こされる健康障害のことです。
不快感、吐き気、倦怠感、めまい、大量の発汗、頭痛、嘔吐、虚脱感、意識障害、けいれん、手足の運動障害、高体温、失神、筋肉痛、筋肉の硬直など重篤なものまで様々な症状があり、もちろん生命が危ぶまれることもあることはみなさんご存知ではないでしょうか。
熱中症になる原因としては、環境、体の状態、行動内容などが挙げられます。
環境としては気温の高さや湿度の高さ、エアコンのない部屋、締め切った風のない部屋、強い日差しなどが影響します。
体の状態としては、高齢者や乳幼児、肥満体の人や病気で体力の落ちている人、二日酔いなどが考えられます。特に乳幼児は体が小さいので周りの温度に影響を受けやすいですし、下痢などですでに脱水状態にある場合も熱中症になりやすいということになります。
高齢者など汗が出にくい人も上昇した体温が下がりにくくて気をつけなければいけません。
意外と知られていないのが太っている人です。太っている人は皮下脂肪が厚いために体内の熱を外に逃がしにくくためやすいという特徴がありますし、重い体を動かすためにより多くに熱が発生してしまうので注意しましょう。
行動内容としては、激しい筋肉運動や慣れない運動、長時間の屋外での作業や水分の取りにくい状態での作業などが挙げられます。
これらの環境、体の状態、行動内容が重なってしまった場合、体温の上昇を抑えることができずに体に熱が溜まり続けることで体温の上昇と調節機能のバランスが崩れて熱中症になってしまうのです。
私は熱中症になんかなったことがないし関係ない、外出するときは日傘もさしているし水分補給だってこまめにしているから絶対にならないと思っている方も、この三つの要因が重なってしまうと決して他人事ではありません。
例えば軽いめまいや軽い頭痛なども熱中症の症状の一つですから注意が必要です。
また強い日差しに当たっていなくても、発汗よって体温を下げようとしても周りの湿度が高いために汗が蒸発せず体温の上昇が止められないという場合もあります。そもそも水分補給が十分で無く汗が出にくい体の状態になっているということもあるかもしれません。
このように色々な要因が重なることで引き起こされる体の異常ですが、やはり熱中症の予防には水分補給は欠かせないですね。
もちろん涼しい服装や日差しを避けるための帽子や日傘、室内での湿度や温度管理も重要なのは言うまでもありません。
それでは水分補給についてはどのようなものを飲むのがいいのでしょうか。
まず予防としては水でも麦茶でも飲みやすいものを選ぶといいと思います。
これはあくまでも発汗がほとんど無い、または少ない場合です。
ポイントとしてはこまめに摂取するということですね。
一度に大量の水分を補給しても吸収できる量は決まっています。環境や体調によっても異なりますが、一回につき200~250mlを目安としてください。
特に長時間の運動や強い日差しの中での作業などの場合は15分から20分に一回は水分補給をすることをお勧めします。
たまに1日の水分はコーヒーで取っているという方がいらっしゃいますが、コーヒーは利尿作用があるために熱中症予防の水分補給としては適していません。
同様にアルコールなどのビールでも水分補給にはなりません・・・。
それから一般的に人間は何もしなくても1日約2.5Lを体内から失うと言われています。
尿として約1.5L、便として約0.1L、呼気や皮膚から失われるものとして約0.9Lくらいの割合です。
そして夏場はこれらに加えて汗を余計にかきますから意識して水分補給をする必要があります。
しかし水分補給として一度に大量の水を摂取すると、体内の電解質バランスを崩して逆に体調不良を引き起こしてしまう恐れがありますから、摂取する水分量としてはかいた汗の量を目安にするといいと思います。
そして大量の発汗があった場合は失われた塩分(ナトリウム)もきちんと補給する必要があります。
それは人間の身体には0.9%のナトリウムを含んだ血液が循環しており、汗をなめると塩辛いことからも分かりますがか汗にはナトリウムが含まれているからです。
大量に汗をかいた場合はナトリウムも一緒に失われてしまい、その際に水だけを飲んでしまうと血中のナトリウム濃度が薄まることでそれ以上ナトリウム濃度を下げないために自然と水分を取らなくなってしまいます。そして同時に余分な水分を尿として排泄してしまうんですね。
体液のナトリウム濃度を一定に保つために体が自動的に行ってしまうのです。
この状態になると汗をかく前の体液の量を回復できなくなり、運動能力も低下しますし体温が上昇して熱中症の原因となるわけです。
熱中症予防の水分補給として、日本体育協会では、0.1~0.2%の食塩(ナトリウム40~80mg/100ml )と糖質を含んだ飲料を推奨しています。
http://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data0/publish/pdf/suibun_01.pdf
冷えたスポーツドリンクや経口補水液の利用が手軽ですが、自分で作る場合は1リットルの水とティースプーン半分の食塩(2g)と角砂糖を好みに応じて数個溶かしてつくることもできます。
また長時間運動を続ける場合には、事前に体内のナトリウム濃度をやや高くすることも必要です。
トライアスロンなど長時間の運動をした場合は血液のナトリウム濃度が低下して熱けいれんが起こることがあると言われています。
スポーツドリンクなどの糖を含んだ飲料が推奨される理由としては、腸管での水分吸収スピードが速くなり保水率が高くなることがあります。
このように適切な量を適切な時に補給することで恐ろしい熱中症は予防できますので、スポーツや屋外での作業などこれからの季節は特に気をつけるようにしてくださいね。